振動弦形計器とは
今からおよそ75年以上前に、フランス人のアンドレ・コイン(後に振動弦形計器メーカーである仏・テレマック社を創立)によって考案された土木計測器で現在欧米や中国では最も普及しているセンサーです。その原理はギターやバイオリンなどの弦(ピアノ線)が引張られると音が高くなり、ゆるむと音が低くなるように、外力の変化に応じて伸び縮みしたピアノ線の振動周波数の変化を測定することで、外力を求めるというものです。 |
構造
図は代表的なひずみ計の構造を示します。防水構造の金属筒中に振動弦(以下弦)がフランジAとBとで固定され、一定張力を与えて張られています。弦の中央部分にコイルが装備され、測定時にコイルにパルス電流を流して弦を一度引きつけ、その後解放して弦を自由振動させます。この振動によって弦とコイルの間隔が近くなったり遠くなったりするので、コイルに電磁誘導により交流電圧が発生します。この交流電圧の周波数と弦の振動数は同じですから、これを演算加工することでひずみ量を求めます。
特長
■変換部に接着剤など有機質を用いていないため、長期安定である。
■周波数信号は長いケーブルであっても減衰なしに伝達できる(実験によると約2.7kmまで減衰しない)。
■電気回路に浸水したりしてケーブルや計器の絶縁抵抗が劣化しても、他の方式にくらべて安定した測定が可能です(絶縁抵抗の許容値は5KΩ以上)。
■センサー内部にサーミスターとアレスター(避雷素子)が組込まれています。サーミスターの設定範囲は-50~+150℃、測定精度は±0.5%F.S.、分解能は0.1℃です。
■各センサーの標準ケーブル長は3mです。
日本におけるダムでの使用実績
年月 | 企業者 | ダム名 |
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2002.6 | 沖縄総合事務局 | 羽地ダム(R) |
2004.8 | 山口県土木建築部 | 真締川ダム(R) |
2004.11 | 沖縄総合事務局 | 大保脇ダム(R) |
2005.8 | 防衛施設庁 | 山中湖ダム(E) |
2007.7 | 福岡県 | 藤波ダム(R) |